こころとからだの不思議なつながり

ロルフィングを基に考案された【 筋膜リリース&深部組織マッサージ 】療法に関する記事や、心と身体の不思議なつながり、催眠療法などについて書いています。

キラーストレスから、こころを守る


うつ病認知症を引き起こす要因のひとつとして
考えられている「ストレスホルモン(=キラーストレス)」。


NHKスペシャルのシリーズ(http://www.nhk.or.jp/special/stress/02.html)で
特集番組が放送されていました。



終わりのみえないストレス(家庭内、学校、職場などで感じるストレスや緊張)に
長期間さらされていると、
ヒトの脳の「海馬」という分野が萎縮してしまう。


海馬は、喜怒哀楽の感情や記憶に関わる部分です。
この海馬がダメージを受けると、


(1)こころの問題
  
 ・気分が落ち込んだまま(抑うつ)
 ・焦りや不安を過度に感じる(パニック症候群)
 ・意欲の低下(何もする気になれない)


(2)記憶と認知の問題


 ・新しいことを覚えられない(今、食事したばかりなのに、食べたことを忘れる)
 ・見識障害(今が「いつ」で、ここが「どこ」で、目の前の人が「誰」なのか、
  わからない)
 ・感情を抑制できない(急に怒り出し、暴力的になる)
 ・思考力の低下(注意力散漫・計算ができない)


など、日常生活に関わる様々な問題が生じます。



この「海馬を損傷させる」のが「ストレスホルモン」(通称:キラーストレス)だと
いわれています。


長期間、絶え間ないストレスにさらされていると、ストレスホルモンの分泌が
過剰になる。
このホルモンの過剰分泌が海馬にダメージを与え、うつ病や認知症を発症させる。
最新の脳科学研究では、そのメカニズムが証明されているそうです。



しかも、
そのストレスの強い環境から解放されたあとも(職場や学校を離れて、帰宅しても)


「また明日も出勤して、あの嫌な仕事をしないといけないのか」
「明日も学校で、いじめられるのか」


など、嫌な記憶を思い出したり、想像する。
今日と同じように、明日も嫌なことや悪いことが起きるはずだと「考える」。



すると、嫌なことを考えるだけで「ストレスホルモン」が分泌され、脳の海馬がダメージを受けてしまうというのです。



今、その場にいなくても
嫌だった場面、つらかった時のこと、最悪の状況や不安な将来を「想像する」だけ。
それなのに、実際に「今、それを体験しているかのように」
脳細胞を破壊するストレスホルモンが分泌される。



人の想像力の威力を実感します。


放送された番組では、
過去に起きた嫌な思い出、つらい記憶、そして、これから起きる「かもしれない」と
想像する。最悪の状況を想定することで、身構える。
あらかじめ、心の準備をするために費やす時間やエネルギーが、ストレスとなり
脳に負担をかけている。



だから、一日10分程度で構わないので、


「何もしない」
「何も考えない」


時間を作りましょう。
座っていても、眠る前の布団の中でもいい。
そっと目を閉じて、自分の呼吸に意識を向ける「だけ」。


鼻から空気が入り、胸が膨らみ、お腹が膨らむ。その空気がまた、お腹から押し出されて
気管を抜け、口からふーっと、吐き出されていく。
そのくり返し。
呼吸に意識を向けながら、身体にも意識をめぐらせてみる。


ああ、今日は右肩が張ってるなあ……。
敷布団と腰の間に、空間があるかも。ふくらはぎがむくんでる。足先がちょっと
冷えて感じ……。



ただ、そうやって感じているだけ
それを「何とかしようとしなくても」いい。今、ここにいる「ありのままの自分」に
向き合う静かな時間。自分のためだけの10分間。


なんと、それを8週間続けると、
身体的な不調は30%、こころの不調は40%も改善が見られたというのです!



こんなに手軽で安上がりで、副作用の心配もない
ストレス対策。
ぜひ、今夜からでも取り入れてみて下さい!


何も毎日毎晩、がんばらなくてもいいんです。気がついたとき。気が向いたときにでも。




私も筋膜リリースのマッサージをクライアント様にしているとき、
いつも通りに施術していても、クライアント様の筋肉が全然ほぐれない。
ゆるまないなと、感じるときがあります。


表現は悪いのですが、まるで死体に施術しているような……。



血の通った生きた人間の身体に触れている感じがしない。
それほど無反応だと、感じるときがたまにあります。


そんなときは、
クライアント様に「もしかして今、全然他のこと考えていませんでした?」
と、確認します。
すると、ほとんどの方が
「実は、少し前に嫌なことがあって、そのことを思い出していて」
「明日、会社で朝イチにしなくちゃいけない仕事の段取りを考えていました」
と、打ち明けて下さいます。



つまり、せっかく時間とお金を使ってマッサージを受けているのに
ご本人は「今、ここに」、いらっしゃらなかった。
なんて、もったいない!
身体は「ここにいる」のに、意識が「別の場所」に、過去や未来に抜け出していって
しまっていたんですね。


私達が終わってしまった過去のこと。
まだ起きてもいない未来のことを思い悩み、
そちらに意識を飛ばしてしまっているときは、身体はこんな風に置き去りにされているのかもしれません。




ですので、施術をしていて、
「あっ、このクライアント様は今、ここにいないかも」
そんな風に感じたら、
背中や肩をマッサージしつつ、


「この辺は圧されてみて、どんな感じがしますか? ずーんと、芯まで響くような、痛みがありますか?」
「表面にしか圧が届いていない感じですか?」
「この辺を押されると、どんな感じがします? 触ってほしくない感じですか? それとも、もう少しやって欲しい感じですか?」


と、お声をかけさせて頂いて、
ご本人に、身体の中に戻ってきてもらうようにしています。
身体の感じを意識すると、「今ここ」に、いることができるようになりますよ。




そうすると、また筋肉が反応を始め
ほぐれていき、あったかくなり、ゆるみ始めます。


身体が生き返り、息を吹き返し、施術を終えたときには、クライアント様の顔色も
明るくなり、頬はチークをさしたみたいにほんのり色づき
瞳に輝きが戻っています。



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