こころとからだの不思議なつながり

ロルフィングを基に考案された【 筋膜リリース&深部組織マッサージ 】療法に関する記事や、心と身体の不思議なつながり、催眠療法などについて書いています。

癒えていく私


私が南山短期大学に在学中、
人間関係科教授として、人間関係科で教鞭をとっていらした竹内敏晴先生が、
私にぽつりと、おっしゃたことがあります。


「僕ねえ。『癒される』って言葉にすごく違和感があるんだよ。テレビなんかで仔猫の映像みたり、きれいな景色みたりして、『癒されます~』って言うじゃない? でもねえ。僕、癒しって誰かに『してもらう』ことでもないし、『してあげる』ことでもない気がするんだよ」


だから、『~される』という受け身のことばを使っていいのか。
癒しとは。


そんなもどかしさを、
訴えられていらっしゃったように記憶しています。
ちょうど、私が筋膜リリース(深部組織)マッサージの仕事を始めたばかりの頃でした。
だから、そんな話になったのだと思います。



それから十五年以上経ちますが、未だに折に触れて思い出さずにはいられない、
重く深いテーマです。


竹内先生は、
「傷は誰かや何かに癒されて治るものじゃない。癒えていくんだ、自発的に。自然発生的に」
とも、おっしゃった。
その言葉を、この数日間なぜだか頻繁に思い出します。



私のセッションルームにいらして下さるクライアント様の主訴は様々です。


  1. 腰痛・肩こり・頭痛・膝の痛みなどの身体的な問題
  2. 抑うつやパニック障害などの心のケア
  3. 特に身体に不調はないが、蓄積された疲れや緊張感をリセットしたい
  4. リラックスしたい
  5. 自分を心身の両側面から見つめ直したい
  6. ケガや手術後のリハビリ
  7. スポーツやダンスなど、パフォーマンス能力の向上


等々、多岐に渡ります。
マッサージを必要とされる動機は様々ですが、どのクライアント様も
筋膜リリース(深部組織)マッサージを受けてみて、


「自分がこんなに緊張しているなんて思わなかった」


と、驚かれます。


誰かに背中なり肩なりを触ってもらうと、自然にそこへ意識が向かいますので、
クライアント様もご自身の背中の張りや、鉛のようになった肩の重さに『意識』でもって触れることになるのでしょう。



私は心身の不調というものは、
その人が広い意味での『つながり』を喪失している状態でもあると考えています。


そして、マッサージを受けながら、クライアント様がご自身のからだと意識で触れて、


「私って、こんなからだだったんだ」
「私はこんなに緊張していたんだな」
「私はこんなになるまで頑張ってきたんだな」


そんな風に自分と対話し、自分のからだに『つながって』いく。自分のからだとこころのつながりを回復させて、深めていく。


そうして自分とのつながりを再生させる過程の中で、クライアント様は癒えていく。
竹内先生がおっしゃっていらしたように、ごく自然発生的に。
頑張ることなく。


だから、クライアント様が自分とのつながりを再生させる静かで安全な場所であり、
集中できる時間であり、
サポートなりを提供するのも私の役割なのかなと、最近すごく感じるようになりました。



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