こころとからだの不思議なつながり

ロルフィングを基に考案された【 筋膜リリース&深部組織マッサージ 】療法に関する記事や、心と身体の不思議なつながり、催眠療法などについて書いています。

ギックリ腰と腰が抜ける、は別物です。

私、数か月前に自宅で腰が抜けました。
「びっくりした」の比喩ではりません。本当に【抜けた】んです。


キッチンで何かを落とし、屈んで拾って立ち上がろうとした時です。
腰の辺りに激痛が走り、「うっ!」と唸りました。
私は、この仕事を始める前に一年に何度もギックリ腰をくり返す癖がありました。
それを何とか治したいと思い、筋膜リリースの施術を受け、
以来、激的に回復し、
ギックリ腰を起こさなくなった経緯があります。


ですので、ギックリ腰の症状も対処法も熟知しています。


まず、ギックリ腰を起こしたら、動いてはいけません。
その場に横臥して10分ぐらい、じーっとしていて下さい。
そうすると、つかまり立ちぐらいはできるようになります。
立って歩けるようになったら、冷却湿布を貼り、1週間は「寝たきり」でいる。
座っていてもいけません
食べる、トイレに行く、以外は動かないぐらいの覚悟で寝ていれば
1週間で治ります。
ギックリ腰は腰の筋肉の炎症ですので、
痛みがある間は「動かさない」「冷やす」ことで炎症を鎮めます。
慌ててマッサージに行ったり、お風呂で温めるのは逆効果です。


そして、痛みが治まったら、ほぐして温め
腰の筋肉の緊張を緩和するように努めてます。


今回もそのギックリ腰を十数年ぶりにやってしまったのかと思い、
上記のセオリーに従い、対応しました。
でも何か違うんです。
ギックリ腰は、症状が治まるまでは、
寝ていても「寝返りを打つたび激痛が走る」ほど痛みます。


それなのに、今回はベッドで寝ていれば全然平気。寝返りも痛くない
ですが、一度起き上がると「腰が痛くて痛くて歩けない」。
これはあきらかにギックリ腰では、ありません。
試しに四つ這いになってみたら、移動できました。あら不思議。痛くないんです。
もちろん家の中だけですよ。そんなことやってみたのは。
外出先でもやってたら不審者です。通報されます。


つまり、私は立ち上がることができなくなっていたんです
もしかしたらこれが【腰が抜ける】ってことか!? と、思いました。


腰や骨盤周辺は自分で触診できるので、ベッドに戻り、腰椎と骨盤のズレを確認。
やはり下の解剖図にあるような、
腰椎の自然なS字型のカーブがほとんどなくなってしまっています。


(写真がピンボケで、すみません)


骨盤の中央にある三角形の骨の仙骨と腰椎は、本来は上の解剖図のように、
若干の傾斜があります。
その傾斜も触診では全く感じられず、腰椎から仙骨までズドーンと一直線に
なっていました。
極端なへっぴり腰をイメージしていただけるといいかもしれません。
 犬が尻尾を丸めて、お腹にくっつけちゃった感じの【腰抜け】感です。


この状態で直立歩行をしようとすると、上半身の全体重が腰椎と仙骨の関節に
全部乗っかってしまいます。
当然、その周辺の神経も圧迫されます。腰が痛くて歩けないはずでした。


しかし、横になったり四つ這いになるなど、
重力から解放され直立歩行さえしなければ痛みは起きない。
それが【腰抜け】。
なるほどなー。これは整体師として希少な経験かもと思いました。
普通に生活していて【腰が抜ける】なんて人、そんなにいないはずですし。


とはいえ、たまたま休日の早朝に症状が発生したから良かったものの、
明後日には施術の予約が入っていました。
なのに、四つ這いでしか移動ができない獣状態。
完治させるまで二日間しか猶予がない。何とかしなければなりません。

私は転んでもタダでは起きないガメツイ性格なものですから、
整体師としての勉強をかねて、自分で何とかしようと思いました。


結果、何とかなりました。ちょうど二日間かかりました。
腰回りは自分でも施術することができます。
筋膜リリースマッサージ腰椎のS字カーブを回復させ、
尻尾を丸めた犬のような状態になった仙骨を元の位置まで戻したら
頭を上げて直立歩行できるようになりました。


四つ足の獣から、二足歩行の人間への進化の過程を二日間で体験したかのようした。
ある意味、感動的でした。
そして、症状が発生した三日後の朝から、
ご予約いただいていたクライアント様に筋膜リリースマッサージの施術もしました。


すると、それから二週間ほど経った頃でしたでしょうか。
私が体験したばかりの【腰が抜けた】状態の症状を訴えて施術を受けにいらした
クライアント様が、いたんです!
なんということでしょう!


私は自分で自分に施した施術を、クライアント様にも行いました。
そのクライアント様も3回の施術で、ほぼ通常通り歩行できるようになりました。
私も数か月経ちましたが、再発はしていません。


もし、二週間前に私自身、腰が抜けていなかったら、
クライアント様の主訴をギックリ腰と混同していたかもしれません。
ですが、ギックリ腰への施術と、腰が抜けた状態への施術は全く違います
リリースするべき筋肉と靭帯が違うんです


二週間前の腰抜けパニックは、神様が私にさせた予行練習だったんでしょうか。
整体やカウンセリングのように、人が人に深く関わる仕事を長く続けていると、
説明のつかない偶然が時々起こります。
それもまた、こういった仕事の醍醐味かもしれません。


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